粉飾決算(ふんしょくけっさん、Window dressing)とは、会計用語の一つで、会社が不正な会計処理を行い、内容虚偽の財務諸表を作成し、収支を偽装して行われる虚偽の決算報告を指す(Wikipediaから引用)。<img src="http://www.rich1.net/img/danraku.gif" alt="段落調整">

粉飾決算の目的はほとんどが利益を水増しさせることで、最近では東芝がやらかしています。過去にもオリンパス、カネボウ、ライブドア、山一証券あたりの有名企業も粉飾に手を染めています。不適切会計と言葉を濁した表現がマスコミで使われていますが、不適切会計=粉飾決算です。

企業の粉飾決算が財務諸表へ与える影響を簡単な事例で説明します。できるだけシンプルにしており、建物や器具備品の減価償却は無視してあります。

■2XX1年度の財務諸表

老舗のメーカーである株式会社粉飾決算は毎年安定的に約10,000の売上と約100の当期純利益がありました。
売掛金の年度末(12月31日)残高は約1,000が標準的です。
ところが2XX1年になって競争は激化して売上が9,000まで落ち込むことが判明します。
何十年も利益を出す黒字企業だったため、社長は経理部長に指示をして1,000の架空売上を計上することにしました。
架空売上の1,000は損益計算書の売上高と貸借対照表の売掛金に計上されています。例年年度末に1,000程度の売掛金が2,000に増えているものの財務諸表にそれほどの違和感はありません。粉飾に染まった勘定は赤で表示しています。

■2XX2年度の財務諸表

2XX2年になっても厳しい価格競争は続き、売上高10,000の達成は困難になり、2XX2年の年度に再び社長判断で1,000の架空売上を計上します。損益計算書から粉飾の形跡を見つけることはきわめて難しいですが、貸借対照表は売掛金が増加して現金預金が減って少しずつゆがみ始めています。架空売上で計上された売掛金は実体がありませんから入金しません。通常は数ヶ月で入金して消滅するはずの売掛金が残り続けます。また、入金がないため現金預金が減って資金繰りが苦しくなっていきます。
粉飾に染まった勘定は赤で表示し、企業活動の生命線ともいうべき現金預金を青で表示しています。

■2XX3年度の財務諸表

ライバル企業に市場シェアを奪われて競争力を急速に無くしていっている株式会社粉飾決算は2XX3年になっても売上は回復しません。厳しい資金繰りのため、2XX3年の夏に銀行から借り入れ1000を行った手前、赤字に転落するわけにはいきません。銀行に融資をを止められれば倒産が現実味を帯びてくるため、会社存続を図って社長は迷わずに1,000の架空売上を計上します。売上が右肩上がりであれば売掛金も連動して増加傾向となりますが、株式会社粉飾決算は売上が横ばいなのに売掛金だけ急増するという貸借対照表に明らかなゆがみが生じています。

資金繰りは2XX4年度にさらに苦しくなることが予想され、銀行からの追加融資が必須です。しかし、貸借対照表の売掛金だけが急増していて銀行が不信を持って貸し付けをしない危険があります。そこで、社長は貸借対照表にも不正を働くことになります。

元々は売上と売掛金だけだった不正会計の勘定科目は、商品、買掛金、未払金へと増殖していきました。安易な気持ちで粉飾に手を染めると、簡単には抜け出せなくなり、粉飾の領域は広く深くなっていきます。

この記事の例は単純な架空売上ですが、実際の粉飾はもっと巧妙に隠蔽されるため、監査法人も発見できずに見逃すこともあり、表面化した時には取り返しのつかないことになっている場合が多いです。

粉飾は損益計算書には表れにくく、貸借対照表も不正によってある程度は粉飾の痕跡を消すことができます。損益計算書と貸借対照表だけを見て、企業の正確な経営成績や財政状態を表しているかを知ることには限界があるのです。


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